ここでは、就労支援(就労継続支援B型)の事業を経営・運営している事業者のことについて、くわしく解説をしていきたいと思います。
基準を満たした法人が事業所の運営者
「就労継続支援B型」とは、事業者が支援利用者と雇用契約を結ばない形で生産活動の機会を提供するものです。
支援利用者は事業所に通うことで、生産活動の知識や能力の向上などを目指すことができます。
就労移行支援事業所などを利用したけれど雇用に結びつかなかった人や、障がいなどが理由で一般企業で働くことが困難だったりする人が、利用対象となる支援です。
では、この就労継続支援B型を行なう事業所は、どんな人たちが経営・運営をしているのでしょうか?
就労継続支援B型の事業を始めるにあたっては、人員や設備に関する基準が設けられており、この基準を満たした法人であれば、事業を始めることができます。
国からの助成金が事業所の収入源
この事業には、“各種雇用関係の助成金”を国から受け取ることができます。この助成金額と、施設の利用者(障がい者など)に支払う工賃の差額が、事業所の主な収入源となるわけです。
就労継続支援B型は、利用者との雇用関係がないので、“賃金や就労体系を事業者側がある程度自由に決められる”という特徴があります。
上記のような仕組みから、就労継続支援B型事業所の中には「利益優先」のところ、つまり国からの助成金目的で利用者を単に囲い込んでいるだけのようなところもあるようです。このような事業所の場合、次のステップへ進むための満足なサポートを利用者が期待するのは難しいかもしれません。
しかし一方で、しっかりと利用者の社会復帰をサポートしてくれる事業所ももちろんあります。その事業者がレストラン事業やビル清掃事業など別に運営主体を持っていれば、その仕事の一部の作業を担わせてもらえることもあります。利用者に関連事業の作業をしてもらうことによって、“Win-Winの関係”を築いているケースが多いようです。
このように、ひとくちに就労継続支援B型といっても、さまざまな事業所があります。選ぶにあたっては、社会復帰に向けてしっかりと支援をしてくれる、信頼・安心できる事業所を選びたいものですね。
労働継続支援B型事業所の指定を受けるには、以下のような要件を満たしている必要があります。もしも、その要件を1つでも満たしていない場合は、その事業所は違反していることになりますので、そこでの就労はおすすめしません。
個人では労働継続支援B型事業所の指定を受けられません。株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人、医療法人など法人であることが前提条件となります。 事業者がどの法人格にあたるのかは事前に確認してください。
管理者 1名
管理者になるには、以下にあるいずれの条件を満たす必要があります。(社会福祉主事資格要件に該当している、社会福祉事業に2年以上従事した経験がある、企業を経営した経験がある、社会福祉施設長認定講習会を修了した)
サービス管理責任者 1名
サービス管理者になるには、以下にあるいずれの条件を満たす必要があります。(1名以上は常勤であること。利用者61名以上の場合は、増員が必須。1名常勤がいれば、兼務は可) サービス管理責任者になるには、以下の要件を満たす必要があります。(実務経験3年以上か、サービス管理責任者研修・相談支援従事者初任者研修両方とも修了していること)
職業指導員 1名
1名以上は常勤が条件。
生活支援員 1名
1名以上は常勤が条件。 事業所の人員は最低でも4名の人員が必要であり、上述した通り、管理者、サービス管理責任者に関しては特別な条件を満たしている人物しかなれません。明らかに人数が合わない、管理者、サービス管理責任者の知識、対応に疑問があるという場合は、気をつけるべきでしょう。そうでないと、充分なフォローやケアが行き届かない状態になることも。
労働継続支援B型事業所には以下の設備が必須となります。
訓練・作業室が狭すぎて作業が困難、空調などの設備が不十分、相談室、多目的室が設けられていない、人数に対してトイレの数が不十分といった場合は、この基準を満たしているとは言えないでしょう。
最低利用定員20名に達していない場合は、そもそも違反ですし、その人数も集まらないとなると、何かしらの問題点のある事業所と考えるべきでしょう。
労働継続支援B型事業所の指定には、以下の事項について運営規程を定めておくが必要がある。(事業の目的及び運営の方針、職員の職種、員数及び職務の内容、営業日及び営業時間、利用定員、就労継続支援B型の内容並びに利用者から受領する費用の種類及びその額、通常の事業の実施地域、サービスの利用に当たっての留意事項 緊急時等における対応方法、非常災害対策、事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類、虐待の防止のための措置に関する事項)
就労する前に運営規程を確認することをおすすめします。
それを確認すれば、事業所の方針、環境が分かるようになっています。運営規程に書かれていることで疑問点があれば事前に質問しておくのも良いでしょう。